藍染の原料

藍(インディゴ)を持ったものが、藍染めの原料です。
植物由来のものと、石炭由来のものがあります。

・主な藍草

藍は、藍草の葉に入っています(茎にはありません)。その藍分(藍の量)は、3~5%ほどと言われています。

・合成藍(インディゴ・ピュアー)

以下の図の詳しい説明は、こちらをお読みください。

・すくも

 藍草を育て、花が咲く前に刈り取り、茎と葉に分けて葉だけを天日で乾燥させて粉々にした葉を、水はけの良い土間に摘み、水を打って筵(むしろ)を被せて寝かせ、数日したら切り返し、又水を打って寝かせ、又切り返しを、100日の内に十何回も繰り返して完熟醗酵させたものを、「すくも」といいます。それを杵で突いて固め、切った物が「藍玉」です。

 日本がすくもを作るようになったのは、室町時代だと云われていますが、これによって原料の保存が出来るようになり、いつでも藍染が出来るようになりました。それまでは、藍草が育つ季節だけ藍染がなされていたわけです。
 世界を見渡せば、今でもほとんどの国の藍染に季節があります。つまり、藍草が育った時だけ藍染をするわけです。
 すくもは、日本人独特の知恵の発露のように感じますが、私は、平安時代後期から大きな気候の変化があって、それに日本人が合わせていった結果のように考えています。


・沈殿藍

 気温30度を超すくらいの熱い日に、容器に入れた水に、藍草の生葉を24時間ほど浸します。葉の中のインジカン(インディゴになる前の成分)が水に溶けだしてきます。
 そこに空気を激しく入れ、サンゴの灰や石灰(たぶん、昔は灰汁と貝灰)を少しずつ加え、匂いも泡も消えたら24時間放置。
 インジカンが水に溶けないインディゴチン(インディゴ)に変わって底に沈んでいるものを、沈殿藍または泥藍といいます。
 これを乾燥させて固めたものが「藍じょう」です。
 沈殿藍は醗酵の作用ではありませんので、微生物が存在していません。ですから、醗酵させるのがすくもよりも難しく、沖縄では昔から、すくもとの併用が行われていました。

・灰汁

 木灰を水に溶き、灰が沈んだ後の上澄みを「灰汁」と云います。使う灰は、椚、楢、小楢、桜、栗、樫などの雑木や堅木です。杉、松、檜、藁などの灰は、藍建てには使えません。灰汁は、正藍染めにとっては絶対です。
 今、日本の山も里山も、杉などの針葉樹ばかり。その上、木を使うことも少なくなり、切ることもなくなりました。ですから、灰が手に入り難くなっています。
 買うことも出来ますが、高価なものなので、大量に使う紺邑のような工房は大変です。
 幸い紺邑は山の中にあり、木に恵まれ、自宅の薪ストーブで灰を作り、ご近所の方々が使う薪ストーブなどから出た灰も使わせて頂いています。

・水

 藍染にとって水もまた、絶対です。
 灰汁を取るのも染め液を作るのも、染めたものを洗うのも全て水がなければ始まりません。当たり前のようだけれど、醗酵という手段を取る限り、只単に水があればよいと云うものではないのは、酒などの他の醗酵と同じです。江戸の紺屋は、水を求めて度々引っ越したと云いますが、私は良く理解できます。
 幸い紺邑は、写真のような現代工法のお蔭で、129mの深さの地下水をくみ取って藍染をしています。
 弱アルカリ性で酸素も鉄分も少ない、藍染に最適の水に出会えました。

・ふすま(小麦の皮)

 染め液へのミネラル分の補給(澱粉質はわずか)に使われます。
 新鮮なものを使い、よく炊いて微生物が食べやすくして使います。
 本建ての場合、藍建てには使わず、建ってからの栄養補給の役割をします。 
 佐野市は小麦の産地ですので、新鮮な良いものが手に入ります。

・貝灰

 貝殻を焼いたもので、日本では漆喰に使われ、古来、貝灰の文化でした。
 ミネラル分が豊富で、藍の微生物の餌となり、微生物が食べてしまうので、すくもに残りません。
 明治の初め、徳島県に送られていた三重県桑名の貝灰の資料には「藍色ノ宜シカラサルヲ美ニシ」と書かれているように、藍染めを美しくします。  久留米絣の無形文化財など、伝統工芸の世界では、今でも貝灰を使っています。